またまたしばらくエッセイが書けずお叱りを受けていましたが、今年の我が家の災いとしては最後に残っていた母親が大怪我をしてしまいました。それをきっかけに急遽来年から月曜日も休診にすることを英断したので、ご報告いたします。
数年前夜中トイレに起きて柱にぶつかって尻もちをついて胸椎圧迫骨折をしてから、右足が震えて歩きづらくなっていた母は、この半年ほど更によく転ぶようになり、10月寝室でも後ろに転んで頭にタンコブを作っていました。「2階の外階段で転んだら命に関わるから気を付けて!」と注意して実家から帰ってきた矢先の11月3日、寒くなってきたからとストーブを出し、その上にやかんを置いて沸いたお湯を使うことを常としていた母は、初歩が上手く出ず、前につんのめってストーブに突っ込みやかんの熱湯を左半身に浴びて大やけどを負ってしまいました。救急搬送されましたが、左腕から脇・背中・顔に及ぶ一部3度を含む2度の熱傷で、右太腿から広範に皮膚を取って移植する手術を受けました。入院中転ぶ原因を神経内科で調べてもらい、珍しい神経変性疾患と診断され、難病指定・身体障害・介護認定を受けることになりました。父も今年3個の癌手術を受けたとあり、とても一人で家事や老々介護は困難と判断し、名古屋にいる妹がウイークデイ、私が週末土曜日診療後から月曜日か火曜日朝まで介護に通うことになりました。
私の診療もいつか歳を重ねたら少しずつフェイドアウトしていかなければ!と考えつつあったこの頃なのですが、このような事態で急遽決めるのは運命というか自然な時の流れなのかな、と思います。あと何年もつか分からない両親ですが、娘もまもなく学生を終わり独り立ちしていくため、これからの10年は親を看取る人生にしよう!と決めました。色々葛藤のあった親ではありますが、患者さんを診ることを仕事としている医者の私が、自分の親を看ないで放っておくというのは理に反するのではないか、と思い。
摂食量が激減して体重が32kgになってしまった母に、入院中付き添って病院食を一口ずつ口に運び食べさせていたのですが、いつもは食べたくないと、ペッペッと口から吐き出していた母に、ある日全部間食させた時は至上の喜びを感じました。自分の親を介護できるって幸せだなあ、とつくづく思ったのです。
このように人生を変える時は期せずして突然変わるものなんだと思います。先走って不安なことをあれこれ考えて来院される患者さんが後を絶ちませんが、先走り不安はその間の人生が無駄になり且つ殆ど想像したようにいかず全く意味がない、私のように決めるべき時が来たらその時決断すればいいのです。
※来年から診療日・診療時間が減ってご迷惑をおかけしますが、以上の事情をどうかご理解していただきたくお願い申し上げます。週4日間集中して診療させていただきます。土曜日診療後から火曜日朝まで緊急の場合は、留守電にメッセージを入れていただければ私の携帯電話に転送され適宜対応するようにさせていただきます。
2016.12.21