この2月は、とにかく雪だらけで終わったような印象です。関東では人生で初めて雪掻きをした人も多いのではないでしょうか?かなり雪が降り積もる岐阜県で育った私でさえ、こんなに多くの雪掻きをしたのは初めてです。屋外のごみ箱はソフトクリームのようになっており、クリニックの外階段は、ラージヒルのジャンプ台のように斜面状に30~40㎝雪が降り積もって、夜看板の照明が当たると、今にも葛西選手が滑って来そうな美しい姿になっていました。しかも2週続けて週末に!
おかげで今年最初のマスターズ水泳大会は、駅とバス停で1時間弱立って待ち、雪の谷と山をクロスカントリーのように歩いて3時間かけて会場に辿り着きました。アップもソコソコに召集へ行くと、公式の50mプールで8コースなのに、私の組はなんと私一人!他の7人が棄権でした。一人でどう泳いで良いか分からずあたふたしているうちにスタート!広いプールを独り占めして泳ぎ始めました。しかし50mでターンした途端、股関節から下はばったり止まってしまい???雪の中の行軍と長時間で冷えた足腰は、水泳用と全く違う仕様になっていました。しかし凡タイムながら、私の年齢区分では初の金メダル!何と銀も銅もおらず、私一人のエントリーだったのです。帰りもバスが運休で、駅まで歩いて帰り、たった130秒(2種目)泳ぐために5時間ほど雪の中を歩いた日となりました。 翌週も5日間連続で雪掻きをして、いつもの筋肉痛とは全く違う体のあちこちがガタゴトいっているような状態が続きました。ヨガでようやくほぐれましたが…。
また我が家は、全館気調システムの室外機が屋根から滑り落ちた雪に埋もれて止まってしまい、2階はシベリアの寒さになりました。メーカーの修理技術員もこの雪でフル回転の結果風邪で倒れられ、我が家に入るのに1週間かかったため、その間患者さんには診察室でコートを羽織ってもらいました。多摩地区の友人宅では、60㎝程降り積もった雪の重みに耐えられなくなった駐車場の屋根が崩れ落ち、買って3ヶ月の新車のベンツが朝ぺっちゃんこに潰れていたそうです。静岡にいた時は「岐阜県出身でいいわね~。雪が見られて!静岡では雪を見られないから、子供は富士山の方へ『雪見遠足』ってのに行くんですよ。」と言われて驚いたことがあります。しかしこの度の大雪で被害続出し、関東の人はもう雪はこりごり!と痛感したことでしょう。
逆に冬季五輪のソチは暖かくて雪の確保が大変だったようで、なんだか皮肉ですね。
終わってみると、今回のオリンピックはメダルの数や色よりも、競技の質や選手の心に感動したといえないでしょうか?選手たちは日頃から、ワールドカップや世界選手権といった4年に1回のオリンピック以外で試合を繰り返しこなしているため、昔ほどお国のため!という責務よりも、今までの集大成として自分が納得できる内容として結果を出したい!という気持ちで臨んだ人が多かったように感じます。だからか、結果に関係なく清々しさを随所に感じました。特に最後のフィギュアスケートの浅田真央ちゃんは圧巻でしたね。私も寝ないでライブで見ていました。正直言って、今まで同郷の真央ちゃんの演技、上手だとは思いますが感動したことはありませんでした。今回は見ていた日本中の人いえ世界中の人が感じたように、真央ちゃんの心・気持ちが伝わってきて感動し自然に涙が溢れ出て、人々の方が真央ちゃんに“心の金メダル”をあげたい気分になったのではないでしょうか。と同時に、本物のオリンピックの金メダルの意義って何だろう?と考えさせられもしました。フィギュアスケートなどの主観や好みの入った芸術点で競う競技だけでなく、ジャンプの飛計点や複合のルール変更などは、誰にでも一目瞭然のスピード競技と違って、よくわからない採点基準で、審判も人間なんだなあ?と思うしかないのですが…。近年のメダル至上主義がいかに国家間の虚栄心と経済絡みで、本来のオリンピック精神からほど遠いものになっていることに気付かされながら、しかし選手同士は国の威信をかけた戦争のようにではなく、いつも世界大会で競い合ってコミュニケ―ションが取れている同じ競技の仲間・同志という雰囲気が伝わってきて、スポーツの世界でのグローバリセーションの拡大を実感した大会でもありました。
オリンピック効果として競技の翌日から、診察に着た患者さんの口から「真央ちゃんを見たら、自分が情けないと思った。私も頑張らなきゃ!」「レジェンド葛西に感動した。俺も負けてられない!」という言葉がたくさん聞かれました。私は「薬より効くなあ~!」と感じ入った次第です。
2014年3月