5月病と梅雨鬱

 和みのクリニックの薔薇は、今年は寒さが長く続いたせいか、GW前から咲き始めて、まだ最後の花が残っていますが、5月末まで1ヶ月間以上咲いていました。こんな年は初めてです。しかもクリニックに上る外階段の壁を伝って伸びていた枝を冬場に切り落として剪定したためか、入口のアーチの左右の薔薇、バタースカッチとロココが揃って一気に大輪で、しかも今年は1茎に蕾が10個以上付いてまるで天然の薔薇のブーケ状に咲いているものがいっぱいあったため、例年以上に圧巻でした。(写真をご覧ください) 圧巻というか、人間でいうと二十歳くらいの若者の生命の勢いのようなものを感じました。一瞬、薔薇にも心があるのではないだろう?と思うくらい毎日愛らしく変わる花の表情に、つい顔がほころび、子供や愛犬と同じように毎日語りかけている私でした。
 その薔薇もほぼ終わり、いよいよ梅雨に突入、5月病と梅雨鬱の患者さんが多く来院される時期です。本来なら、新緑の青葉が町にあふれ爽やかで心地良い季節ですが、4月新学期や新天地で張り切ってスタートした人たちが、GWで一息つくと、スタートダッシュの疲れがどっと出てストップしてしまうのが5月病とされています。また、昔は梅雨時に鬱っぽくなる方が多いとは感じませんでしたが、何年くらい前か、クリニックを始めてからでしょうか、そう感じるようになりました。梅雨時の太陽の光が見えない日々、低気圧や湿度の高さや蒸し暑さのせいもあるのか、何の心因もなくうつ状態に陥る人がクリニックに増えます。春秋の季節の変わり目に気分変調をきたすことはよく知られていると思いますが、最近では冬の寒さが始まる頃から増える冬期うつ病や五月病と共に、季節性の心の病気の一つに含まれるでしょう。
 これらは、太陽の光や温度・湿度・気圧などの地球環境要因によって人間の頭の中のホルモン、いわゆる脳内ホルモンが分泌に変動が起こるせいだと考えられています。人間が地球と共に生きている証拠です。日本には四季があるので、それが如実に表れるのですが(日本でも季節に寄って全く心身の状態が変動しない私のような人もいますが)、タヒチやハワイなど常夏の国では、確かにあまりそういった心の病のことは聞きません。タヒチのボラボラ島に行った時、「将来ここで精神科医をしながら余生を生きていこうかな?」と冗談交じりに言ったところ、「ここにはうつ病になるような人はいないから精神科医はいらないよ。」と言われてしまいました。確かにハワイやタヒチでも雨は降り、乾季と雨季があるのですが、短時間のスコールのような雨で湿気がなく爽やかなのです。(むしろ時々雨が降ってくれないかなあ?と期待するほど暑い時があります。)気分変動を起こすような気候の変化はなく、皆明るく気楽に前向きに生きている印象です。日本人は民族的な性格傾向もあるのでしょうか?それは気候も含めた風土が生み出した性格なのか、元々の生物学的遺伝子DNA によるのかはわかりませんが、四季によって気分が変動する人が結構いらっしゃいます。低く重い雲が長く垂れ込める冬の寒さの厳しい北陸や東北の日本海側の地方ではうつ病の罹患率や自殺率が高く、暖かくて太陽の照る日が多い沖縄や宮崎、静岡といった太平洋に面した地方には明るい人が多くうつ病が少ない、という傾向があるようです。患者さんの中には、自分の苦手な季節、体調不良やうつになりやすい季節を承知している方もいらっしゃいます。
 しかし最近日本の四季はあまり明確に区切れなくなっているのではないでしょうか?5月に真夏日があったり、2月にも20℃を超す日があったり、春でも冬みたいに寒い日があったり、と大体の四季はあるのに、その中で時々全くその季節と違う天候になる日が昔より増えているような気がしませんか? 地球温暖化といわれていますが、人間は人間にとって便利なように次々に文明なるものを発展・開発した結果、自分で自分の首を絞めるような反動=地球環境の悪しき変化→健康被害を起こしているのではないでしょうか。
 その結果、四季による心身の変調が変わってきて予測対処ができなくなっている患者さんも出てきています。今年の梅雨入りも判断を早まったのでは?と思われる節がありますが…。その結果この5・6月やけに体調不良の患者さんが大勢受診されています。
 咲き終わってもう対話ができなくなった薔薇を切りながら、「もっと先の将来・未来はどうなってしまうのだろう?」と案じる私でした。
2013年6月

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