百年に一度の人類の危機とBTS

 2022年もあと3ヶ月を切り、長く暑かった夏が10月初めまで続いて、秋はもうこのまま来ないのだろうか?と思っていたら、急に気温が20度近く落ちて一気に冬の到来を感じて慌てている今日この頃です。
 ロシアのウクライナへの一方的な侵攻は、クリミア大橋の爆破の報復措置として即連日ウクライナ全土に計112発のミサイル攻撃をする非道暴挙に至り、地球上で毎日罪もない尊い人命が奪われ続けている。部分動員令を始めプーチン大統領の偏執ぶりは悪化の一途を辿って核戦争への危機が現実感を帯びるようになり、未来への人類の発展とは逆行しているようだ。第〇次世界大戦というのはこうして始まるものなのか…と不気味な無力感に襲われている。 
 
 COVID-19も軽症化してきたとはいえ、地球上で未だ完全収束までにどれ程の時間を要するのか分からない。経済も世界的不況が続き、極度の円安から各方面で悲鳴が上がっている日本。『疫病・戦争・飢饉』~ユヴァル・ノア・ハラリが「ホモ・デウス」で述べている人類が何千年もの間取り組んできた三つの課題~又は以前書いたエッセイの中で我が父が言っていた「百年に一度は遭遇する危機的事態」の真只中に現在我々は生きている。疫病はCOVID-19、戦争はロシアのウクライナ侵略、飢饉は経済不況と地球環境問題といえるだろう。
 そこにまた誰も想像しなかった事件が起きて日本中がひっくり返った。安倍晋三元総理大臣の旧統一教会信者の被害家族による暗殺事件。事件の一報を聞いて真っ先に私の脳裏に浮かんだのは「あの人(安倍さん)の終わり方はこういうことになっていたんだ」という言葉だった。安倍さんほどその政治的評価が二分される毀誉(きよ)褒貶(ほうへん)(ほめることとけなすことの両極)な総理大臣はいなかったといわれる。確かに世界に向かっての外交や安全保障に関しては評価できるかも知れないが、国内政策特に女性の社会進出や定年75歳制提唱には、驚きから絶句した。この方は上向きの理想論ばかり掲げて日本国民の現実社会生活を知らないのではないか?と。社会・会社で働くことが不向きな本来の女性らしい女性達に強制的家外就労の苦痛を産み、長年会社勤めをしてきて疲れ果てている60歳代を更に75歳まで働かせるなんて老後の楽しみもなく過労死させるつもりなのか、(政策の負の部分を考えていない)と危機感を抱いたものだ。実際そう訴える患者さんが多く来院した。
 常々「人間の幸と不幸は足して二で割れば皆大体同じくらい」と思っている私は、またその自説に頷いた。
 岸田総理が「民主主義の根幹たる…」「丁寧な説明」「テロに屈しない…」と何度も仰っていることにも、毎回とても違和感を抱く。選挙のたびに「清き一票を!」と連呼され、選挙期間中一生懸命街頭で候補者の演説を聞き、選挙会場へ足を運んで真剣に「誰を選ぼうか?」と考えて一票を投じてきた人には「なのに、選挙に勝って議員になる為に、より多くの党員を当選させて政権を取る為に、一部の国民を不幸にしている異国人が教祖の新興宗教と癒着して勝っていた汚い選挙を、民主主義といえるのか!」と今までの自分の真摯な想いを踏みにじられた悔しさ無念さが湧いてくるだろう。いくら「丁寧な説明」を繰り返されても、間違っている!との思いは決して変わらない。もちろん暴力・殺人は容認できないが、「テロ」という言葉も「政治的目的を達成するために大勢の人々に暴力・脅迫を用いること」という定義に合わないはずだ。国葬の本来の喪主は国民であるはずだが、その半数以上が反対した国葬を取り止めにしなかった岸田総理の判断力と民意に対する感性を疑ってしまう。また国葬の献花の列に並んだ人が全員国葬に賛成していた訳ではなく、野次馬根性で献花体験に行ってみたという人も多いという。私は10月から新聞をその論調のあまりの偏り方から産経から朝日に変えた。
 そんな9月、私は3年振りに感染症対策をしてマスターズ水泳に出場した。何と200m個人メドレーはベストタイムから10秒も遅れてしまった。飛び込みとターンで失敗し、ダッシュも気合の入れ方を忘れてしまったのか…。大阪のジャパンマスターズ(全国大会)では、直前に水着が破れるアクシデントがありバタバタのままゴールし5秒縮めたものの、コロナ禍でのフォーム改善と技術向上の成果は出ず。帰りに会場のすぐ近くにあるユニバーサルスタジオジャパンUSJへ初めて一人で行って、真っ先にお目当てのハリーポッターのアトラクションに乗ったところ、三半規管の弱い私は最初から吐き気とめまいに翻弄され続けて、降りてトイレへ直行、体中空っぽになってしまった。その後もパスを買っていた残りの3つアトラクションに乗ったが、泳いで疲れた上に全身吐き気の苦痛のみで何も楽しめず、結局飲まず食わずでフラフラのまま一銭も使わずに退場した。この歳になって行く所ではない、と痛感した。
 コロナ禍の福音としては、活動休止を宣言してからのBTS(韓国のK-POPアイドルグループ防弾少年団)にハマったことです 家で過ごすことが多い生活になり、数年前から娘に「このグループいいよ、見て!」と勧められていたBTSが、グラミー賞やら国連で演説やパーフォーマンスをするなど絶頂期に突然活動休止するとのニュースが流れ、どういうアーティストなの?と興味が湧きCDを買ってみた。車の中で初めて聞いた時から何?この曲と歌詞と乗りの新鮮さ!と驚嘆し、ダンスパーフォーマンスを映像で見てまた何?この7人一糸乱れぬキレッキレの踊りと歌唱の表現力!と心臓を射抜かれた。実は私も若い頃一時音楽、特にブラジル系ラテン音楽にのめり込んでいたことがある。ピアノやフルートなどの楽器もやっていたが、ダンスはバブル期のディスコにも行ったことがなく、娘のバレエくらいで距離の遠いものだった。幼少期のピンキーとキラーズ、テンプターズ以来、たちまち還暦ARMY(BTSの熱狂的なファン)になってしまった私は、初めは7人の区別がつかなかったが、この私がYouTubeなるものを見始め、歌と踊りの熱量とは全く違うメンバー一人一人の性格の違いや良さが見えてきて、急に可愛い息子が7人できたような幸せ気分になった。そしてなんと!今では毎晩BTSの歌と踊りを見てから眠りにつくようになっている。若い子達が夜中YouTubeを見続けてしまい朝起きれず学校に行けない、ことが少し分かる気がしてきた。またこんな毎日嫌なニュースばかり流れて出口が見えない時代だからこそ、BTSに魅かれ癒されるのかも知れない。7人が各自成長し再結集後一度はライブでコンサートを見てみたい!と思っている。
 そして私は、恩師の死から奮起して、10年振りに日本精神病理学会に復帰し9月京都で追悼の意を込めて恩師の学問絡みの発表をした。今まで余りしなかったがシンポジウムで質問にも立った。新鮮だった。やはりこれぞ私の生きる道!という気持ちの高まりと充実感で一杯になった。やっぱり私は学問が好きなんだ、学問を追求したいんだ、と。恩師の「精神病理(医)学には女性の学者も必要なんだ」という言葉に答えるべく、そのためにもっともっと勉強しなければ!と決意を新たにしている

2022.10.16.

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