しばらくエッセイお休みして申し訳ありませんでした。4月末から競泳のマスターズとGW明けには初めてのフィンスイミングの全日本選手権に出場し、その後も所属クラブのマスターズ大会があり、7月20日にジャパンマスターズが終わってようやくほっと一息ついています。その間何度もエッセイを書きかけたのですが、地球規模での異常気象が続き、なぜか春以降患者さんが増えてきて、書き切れませんでした。
日本では、桜島、口永良部島、箱根山、浅間山の爆発・噴火、関東や九州・沖縄での地震、異様に空気が澄んでいた4月と5月の真夏日、梅雨時期の大雨と台風、梅雨明けの猛暑、毎年毎年異常気象と言われているような気がしますが、それは人間から見た表現であって、地球から見たら、いつも季節が巡ると同じように気候のパターンが繰り返されていたわけではないのかも知れません。
今の人間が知り得る過去数千年はそうだったかもしれませんが、我々が知りえない過去には違うパターンがあったかも知れません。どちらにしても『地球は生きている』と確信している私には、この異常気象も人間がもたらした功罪だと思えるのです。
またそのせいか、今年は5月のGW明け例年以上に5月病らしき人が多く受診し、新入生・新入社員・新任教師と年齢・職種の幅も広がりました。しかも人(上司・同僚・先生・同級生)に反応する人や、仕事や勉強の難しさにヘタレる人が多い印象でした。そのほとんどが適応障害なので、原因から遠ざかればすぐ軽快するので、治療は短期間で終了するのですが、これらをうつ病と診断して、長期に休ませたり、多くの薬を服用させたりするのは間違いだと思います。
最近「レジリエンス」という言葉を聞くようになりましたが、「抵抗力」いわゆる昔でいうと「根性」ですね、それを強めなくてはいけない、と。私が精神科医になった30年位前、スポ根で育った私は、登校拒否に対して「嫌なら学校行かなくてもいいよ。」という声掛けが主流になったことに、大きな違和感を抱きました。驚きというか抵抗感というか…。
近年はそのスポ根精神の先輩が後輩に怒鳴るだけで、「パワハラ」だの「モラハラ」だのと訴える人が増え、戸惑いを隠せなくなっていた私です。それがようやく「少しは強くなろうとしないとといけないよ!」という風潮が出てきてほっとしています。ただ傾聴と共感だけでは、何も事態は解決しない!と実感していた矢先だったので、今年は5月病的な患者さん達にも少し背中を押すように心がけています。結果としては、概ね良好な経過と結末となっています。フィンの大会も水泳のマスターズも自分の限界に挑戦して猛練習を重ねた結果、実は大した進化は達成できませんでしたが、年齢が進んでも退化しないことが成果かと思って、小さい頃の「努力と根性」を座右の銘にして、もう一度秋に向かってトレーニングしなければ!と猛暑の夏に決意を新たにしている私です。
2015.7.23