中国人の爆買

 中国の春節に当たる2月日本の各地は中国人の観光客でごった返していました。2月初めに原宿の美容院へ行った際、1年前はあった駐車場が、外国人観光客が増えたとのことで一斉になくなっていて、車を止めるのにかなり離れたところまでうろうろせねばならず、大変な思いをしました。原宿・表参道などは、中国人に限らず、近年世界各国から外国人観光客が押し寄せてきていて、経済的にかなり潤っているようです。2月の連休の時、実家からの帰りの新幹線にお土産を置き忘れて東京駅まで取りに行った際も、八重洲口の駅構内を走り回っている間、中国人らしき家族連れや団体に数多く遭遇しました。手にいっぱいの荷物を持ち抱えながら、まだどこかへ行こうと画策している様子でした。大丸デパートの館内放送は日本語や英語ではなく中国語ばかりで、「ここは中国?」と錯覚しそうになったほどです。
 しかし思えば私が初めて海外に行った1989年、花の都パリで日本人がこの中国人と同じような振る舞いをしていました。当時日本はバブル景気真っ盛りで、団体ツアー客がコンダクターの旗の元、シャンゼリゼを闊歩し、ブランド品を買い漁っていました。歴史ある有名なパリのカフェで、日本人の中年おじさんがパリジェンヌの店員さんに向かって大声で「お~い、姉ちゃん姉ちゃん!」と日本語で呼びつけている光景を目にしました。いつも新橋辺りの飲み屋街でそうしているのか、日本でと同じように日本語振る舞っている姿に、同じ日本人として恥ずかしくなりました。フランスは自国の言語と食文化には崇高な誇りを持っている国です。不機嫌そうにツンとして無表情のそのパリジェンヌを見て、「郷に入りては郷に従え!」という言葉が私の頭に浮かびました。また高級ブランドのエルメス本店に記念にスカーフを買おうと入りました。するとガラスのショーケースの上に誰かが見た後のスカーフが10数枚山盛りになっていたので、その中の物を見ようと手を出したところ、横にいた日本人の20歳代の女性が私の手をはねのけ、そのスカーフの山を全部腕で囲い、「これ全部頂戴!」とケースの向こうに並ぶ数人のパリジェンヌの店員に命じました。「えっ、1枚数万円はするエルメスのスカーフなのに、若いOL風の日本人がよく吟味もせず蜜柑一山を買うかの如く買い占めるなんて!同僚や友人達へのお土産?」と、医者になって数年目の私は唖然としました。パリジェンヌの店員たちは憮然として対応しています。母国の誇り高き高級品で、彼女らだってそんない簡単には買えない、何年も働いてようやく買えるかどうかの代物です。不愉快になるのは当然でしょう。私はその後、吟味に吟味を重ねた末にようやく1枚だけ気に入ったスカーフを買いました。そして店を出て扉が閉まった直後、免税手続きを忘れたことに気付き、再度扉を押して中に入り、対応してくれた女性店員に免税手続きを申し出たのですが、「ノン!今あなたは店の外に出た。手遅れだ!免税手続きはできない!」と断られてしまいました。何度か食い下がったのですが、先ほどの日本人女性のせいか、同じ日本人観光客の私に冷たい表情で目も合わせず「ノン!ノン!」と言って一切取り合ってくれませんでした。こういった日本人の横暴な振る舞い、外国においても日本にいるのと同じように振る舞いその国のしきたりや文化をないがしろにする日本人が当初は多かったのです。
 しかし8年後に再び学会でパリを訪れ、同じエルメスの店に入った時まずびっくりしたのは、店員のパリジェンヌの愛想の良い笑顔と「いらっしゃいませ!」という日本語でのお出迎えでした。しかも日本人専用の階(コーナー)ができていて、そこへ年配のフランス女性に案内されて行き、丁寧に接客され、もちろん免税手続きもしてくれました。買った後は出口まで品物を持って誘導してくれて、最後は「ありがとうございました。またお越しください。」と流暢な日本語でにこやかに深々と頭を下げて挨拶をして見送ってくれたのです。完全に日本風接客をマスターさせられているパリの高級ブランド店員になっていました。8年の間に何とフランスは変わったことか!と驚き唖然としました。これも日本人観光客が増え、その経済効果でさらにフランスが潤うための戦略なのでしょうが、8年前シャンゼリゼ通りに初めてマクドナルドができた時(私も唯一安心できるので入ったのですが)、英語の看板とファーストフードに対する批判が炸裂していた覚えがあるのに、ここまで外国文化に媚びへつらう国になってしまったのか、とやや落胆し興醒めしました。
 昨今の中国人の爆買いとマナーの悪さと同じようだった時代が日本にもあるのです。経済成長著しい新興国が、海外に出始めた時に起こす現象の一つでしょう。新興国は自国が日本が世界の普通だと勘違いしやすいのですが、世界から見ると自国は世界の非常識といえるところが多分にあります。自国の外では、その国に合わせて言動をすることが絶対に必要です。中国は日本から数十年遅れて発展してきている国ですので、いつの日か日本や世界にマナーを合わせてくれる日が来ることを祈念したいと思います。
2015.4.1

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