モーターショー

 今年も12月に入り残りあとわずかになりました。この1年間何をしたんだろう?と考えて、何も浮かんでこない自分を情けなく思う年の瀬です。
 世の中の流れは予想不可能に変わっていきますが、リーマンショック及び東日本大震災以後落ち込んだ日本経済は今徐々に回復傾向にあると言われていますが、果たして本当に良くなっているのでしょうか? 実家の陶磁器産業界はまだまだトンネルの中に入ったままのようですが、日本経済界を代表するものとして車産業を覗いてみようと思いたって、約30年振りに東京モーターショーに行ってみました。車好きな父の影響で、10~20代は毎年名古屋のモーターショーに行っていたのですが、久しく車に興味がなく、ただ移動の手段と考え、震災後エネルギーの無駄使いをなくすべき!と車開発に反対であった私にとって、敵地偵察のような気分でもありました。最終日の日曜日の朝、たまにしか乗らない乗用車に乗ってお台場まで走ったのですが、会場の周辺の駐車場は臨時も含めて長蛇の列!晴海の2020年東京オリンピックでの選手村予定地辺りまで回されたのですが、駐車待ちの列は一向に進まず、諦めていったん都内で用を済ませてから、午後1時過ぎに再び行ったのですが、まだ並んでいて入れませんでした。仕方なく会場からかなり遠いコイン駐車場に止めて歩いて歩いてようやく2時半頃会場へ。しかしそこから入るにはまた人人人の波!入ってからトイレやコンビニに入るにも長蛇の列に並ばねばならず、車を見始めたのはすでに3時過ぎていました。そこで国産車と外国車数社に絞って回ることにしましたが、お目当ての車を見ようにもスマホやタブレットを高く上げて撮影する人だかりで車の全身は見られず、前の人の掲げるタブレットに映る車を見てながら、諦めてお賽銭を遠くから投げて帰る初詣のような私でした。しかし確かに車産業は活気を取り戻している風でした。30年前とは違うコンピューター満載の次世代型スーパースポーツカーand/or実用ファミリーカーに、夢見るように目を輝かせ胸膨らませ、わくわく且つ驚きながら人波の中次々に車を見て回る人々の姿に、日本はまた元気を取り戻しそうだ!と確信しました。他の産業はまだまだ景気低迷しているところもあるでしょうが、まずは日本の緻密な物作りの代表格として、車産業を皮切りに。格好良く走りまわす自己主張の権化のようだった昔の車と違って、現代の車はEVやクリーンディーゼルなどを取り入れながら、ただ単に移動の手段であるだけでなく、人に夢と希望を与え元気にさせつつ、安全に確実に生活の一部として人に寄り添うあるいは一体化した存在になっていると感じ、「車」の意義を見直しました。
 10日間で100万人近くの来場者数、満足度90%以上、と今年の東京モーターショーは大盛況だったこと然りです。またエコカーやリサイクルといった環境やエネルギー問題への配慮に時代の変遷を痛感しました。「環境に優しい」という表現は、今まで人間が地球の環境を傷つけ破壊してきたから気付いたのであって、実は「これから罪滅ぼし」というべきだと思うのですが…。しばらく物欲を失っていた私も、心を揺さぶられる車に出会ってしまい、12年目に突入した愛車を買い替えてみようかな?と思案している次第です。
2013年12月

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