開業して薔薇が好きなことに気が付きました。庭のバラ以外にも。クリニックの内装に使っている壁紙や装飾オブジェ、カレンダー、絵画、メモ用紙に至るまで薔薇が入っていました。当初クリニック名も「和みのバラメンタルクリニック」にしようかと言っていた程です。しかし棘のある薔薇で和む?とは?ということになり、没になりましたが…。
クリニックに上がる階段入口の上にクリニックの看板と共に薔薇のアーチがあります。このアイアンのアーチは院長のデザインによるオリジナルで、アーチの右側の淡いピンクのバラが「ロコロ」、左側のピーナッツバター色のバラが「バタースカッチ」という名前です。共にオールド・クラシック・ローズで、蓼科のバラクライングリッシュガーデンから取り寄せました。開業と同時に始めは高さ1mほどの苗木から育ち、6年ほどで両方のバラが上部で繋がり、今では上部が重なり合って、さらに先が伸びて行き場がなくなるほどになっています。一時クリニックへ上がる建物の壁伝いにドアの手前まで伸びていましたが、今春の12年振りの外壁再塗装に際して、患者さんの昇降の妨げにならないよう誘引方向を変えました。5月のバラの最盛期には見事なまでの大輪の珍しい2種類のバラがたわわに咲き誇り、昼も夜も見物客が訪れ、写真を撮られていきます。この薔薇は四季咲きで、一度咲き終わってまた6~7月と秋にも咲きます。二度目以降は小さい薔薇になり数も減りますが、時々お正月辺りの冬にもポツンと咲いていることがあります。
自宅車庫の上のテラスの柵の周りにももう少し明るいピンクの可愛い吊るバラが咲き誇ります。こちらのバラの方が小ぶりで早く咲き、甘い香りも強く道行く人が見上げます。
薔薇の手入れはラ・フランスというお店の人に手伝ってもらいながら、毎月肥料を変え、咲き終わった薔薇の花柄摘みは院長自らせっせと行い、10年間見事に咲き続けています。
日当たりの良い当地は薔薇に適しているのです。我がクリニックのバラに刺激されたのか、お向かいのうかい亭さんも7年前から庭にバラを咲かせられるようになりました。
その他、庭には玄関周りや自宅の中庭も含めて色々な植物を植えて育てています。コニファー各種、季節の寄せ植え、ヒメシャラ、ソヨゴ、山帽子、アジサイ、クリスマスローズ、紅葉、トネリコ、万作、沈丁花などなど、鉢で買って来たものを最後は庭に植えて育て続けています。一時はハーブもやっていましたが、時々来る父親が草刈りと称して雑草と見分けがつけられないまま、何度も抜かれてしまったので、止めました。季節の変わり目にはせっせと鉢植えの花を植えかえていますが、休みの日や夜に一人でやっております。
いずれにしてもあまりカッチリとはせず、目指せ!セント・アンドリュース!とばかりにできるだけ自然に任せたいと思ってやっております。
自宅室内の観葉植物も長い物では、26年育て続け、ひ孫玄孫以上に株分けしたものもあり、養子に出したものも数知れず、リビングは見方によってはジャングルの様かもしれません。クリニックにも緑を置いていましたが、待合室の空気を綺麗にしようと空気清浄機を置いたら、綺麗な酸素を吹き出しているため、二酸化炭素を好む植物はどんどん元気がなくなってしまい、悩んだ末、人間の患者さんのおいしい空気希望を優先して、緑は自宅リビングに移動しました。従って今待合室はやや殺風景ですが、花台には自宅庭の花を生けたり、院長自らの切り花アレンジを飾ったりして、患者さんに少しでも和んで頂こうとしております。
自分がこんなに植物に手を掛けるとは思っていませんでしたが、植物もペットの動物も人間と同じで子育てなんですよね。心を掛けて愛情を注いでやらないとだめになってしまう。手を掛けいっぱい声をかけてやると反応があるんです。これは人間が無機物だと思っている地球上の全てのものについていえるのではないでしょうか? ちなみに今春塗り替えた我が家についてもそう思いました。家は生きている! と。
2012年7月