2021オリンピックとジェンダー問題

 2021年、地球世界の人類は2年間に渡る新型コロナ感染症との戦いに明け暮れながら終わろうとしています。日本は夏に東京オリンピックを無観客で開催したものの、金メダルを期待視されていた選手が、バブル方式による地元開催のプレッシャーなのかCOVID‐19で国際大会経験が少なかったせいなのか、序盤から次々と不本意な結果に終わり、テレビで観戦する側も興奮や感動の盛り上がりがないまま閉幕した感じがします。
 ただ、開会式の聖火リレー入場で、私が最終ランナーに予想していたONつまり長嶋さん王さんが、松井秀喜さんと共に現れた時は胸が熱くなりました。東京でスポーツを代表するレジェンドといえばONだ!と思い、母のリハビリトレーナーだった方が、その前に長嶋さんのリハビリに携わっていらしたことから、長嶋さんの鬼気迫るトレーニング努力を聞いていた私は、多分かなり具合が悪いのだろうと思われるお姿ながら、短い距離を懸命に自分の足で歩こうとされている長嶋さんの姿を見て、7ヶ月前に亡くなった母を思い出しつい拳を握って応援していました。昭和の現役時代は王さんの大ファンだった私ですが、やっぱりONだったなあ、と。
 12月に入って毎年恒例の清水寺の住職が今年を現す漢字一文字として「金」を書かれたことに、私は「えっ『金』?そうかなあ?」と初めて今年は同感できませんでした。そんなに沢山金メダル取れなかったし、お金は動かなかったのに、と。
 またオリンピックを通じて盛んに叫ばれるようになった言葉が、「人種差別・性差別のない世界」でした。最終聖火ランナーの大阪なおみ選手、日本選手団入場行進で旗手を務めた八村塁選手、性転換後の性で出場した選手などがその例として挙げられました。人種差別をなくすことは然りですが、性差はどうでしょうか? 本来XX染色体の男性として生まれた人が、心は女性だといっても、筋力や骨格系はやはり男性の質です。それなのにXY染色体の女性とその男性質の肉体を使って競うのは、物理的に絶対的な差があり平等とはいえず、“フェアプレイのスポーツマン精神”に反するのではないでしょうか。
 その後もテレビや新聞では、盛んに「ジェンダー平等」とか「Xジェンダー-」という言葉が飛び交い、「人間に性差はなく、男性と女性の違いはグラデーションだ」というNHKのテレビ番組がある一方、「女性の月経に対する正しい認識を!」と男性社会に呼びかける番組や、女性の社会進出・働く女性の地位向上、家事・育児の夫婦平等など、近年は女性に有利な傾向が強く、男性は肩身の狭い思いをされているのではないでしょうか。
 果たして男女は本当に平等なのか!? 男性と女性は、染色体だけでなく、外見の姿、体の中の生殖器や性ホルモンは明らかに違います。もちろん男性にも女性ホルモンや女性にも男性ホルモンはありますが、有意な差があります。何せ、女性は子供を産めますが、男性は種まきだけです。脳も脳梁という部分が男性より女性の方が大きいという違いがあるといわれます(反対意見もあります)。生物学的には明らかな違いがあるのです。
 しかしながら精神面はどうでしょうか?精神疾患では、ヒステリーは女性に多く、出産後の精神疾患や月経に伴うPMS・PMDDは女性特有であり、うつ病でいうと、昇進うつ病は男性に多く、女性には引っ越しうつ病が多い、等明らかな男女差があります。
 古来人間界の戦争は、男性がその闘争心と支配欲・征服欲から始めたもので、女性は戦争には反対で平和を求めます(少数の闘争家もいますが)。今叫ばれているジェンダー平等は、男性と同等に評価されたい男性的なというか男性に比肩する少数派の女性が叫んでいる傾向があるのではないでしょうか?女性の地位向上、女性の評価が上がること、それはそれで良いのですが、大多数の女性らしい女性、男性らしい男性の立場から見ることも忘れてはならない!と強く思います。女性の社会進出、それは結構ですが、女性皆が働く女性を目指しているわけではありません。社会で働くことが苦手な不向きな女性は多いのです。今40代以上の女性はまだ結婚して専業主婦やパート務めの方が多いかも知れませんが、30代以下の女性たちは、学校卒業後就活して正社員として社会で働き続けることが普通の人生経路だと思うようになっています。最近発表された生涯非婚率が高くなっているのもその表れでしょう。女性には純粋に家庭向きの人が多くいます。一旦は社会に出て働くものの、会社の仕事にやりがいを感じず、昇進欲はなく、上司や同僚(特に女性の)との人間関係に疲れ、家で家事や育児をしていた方が性に合っていると気付いて早くに退職していきます。仲にはバリバリ働いて同期の男性と張り合ってもしくは男性以上に仕事をしてしまい、気が付いたら30歳過ぎ、同期の男性社員は先に出世して、自分は恋人もおらず、結婚の機会を逃し、このままでは子供も産めない人生で終わってしまう!と焦って受診してくる女性がいます。こうして30半ばにして、仕事の評価より女性としての幸せな家庭生活の方が大事だった!と気付いて婚活に入り男性との張り合いを止めます。また女性の社会進出により、女性社員同士の空気を読む不協和音が増え、会社の仕事に感情を持ち込む問題~対人関係による適応障害~が俄然増えています。最近は男女間でもそれは増えています。私は若い頃、「仕事に好き嫌いを持ち込むな!」と教えられました。が最近では、職場で仕事をする事より、人間関係を気にすることの方が主体になっている人達が増えていることが懸念されます。
 また女性に向く仕事、男性に向く仕事、の別はあると思います。家事・育児と会社・力仕事など。しかし少数派の男性的な女性や女性的な男性はいるので、彼らを尊重する事は大切な事ですが。いくら男女平等といっても、女性に50㎏もある重い荷物をいっぱい運べるでしょうか? 男性の力なくしては、家財も動かせない不便が付きまといます。男性に毎日コツコツ同じ作業(家事)を繰り返しこなし続けることができるでしょうか?「女工(じょこう)さん」という言葉はあっても、「男工(だんこう)さん」とは言いませんよね。昨今男女平等の御旗の元、夫に家事や育児を強要する妻が増え、料理や子供が好きな男性は苦ではないかも知れませんが、それでも一日中会社で働いてエネルギー枯渇状態で帰宅後、またそれから家事・育児をするなんて男性にはたまったものではないでしょう。その夫の大変さを妻は分からないのでしょうか?そんな“鬼嫁”となる妻は専業主婦かパート務めの方に多い傾向があり、ただ家事・育児を楽して怠けたい妻だけのように思えます。正社員で共働きの妻は夫に家事を強要せず、そのため夫も家事に協力的な家庭が多いように思われます。愛があれば共に思い遣れるのではないでしょうか?最近“鬼嫁”により人生疲れ果てた夫の受診が増えています。声を大きくして反論すると、「パワハラだ」「モラハラだ」と言われ黙って我慢するしかない、と嘆く夫。こうなると妻の逆パワハラですね。「子供が成人したら離婚します」と夫は言い、こうして愛のなくなった家庭は崩壊していきます。「男女平等」というのは、権利を主張したり楽をしたりするためのものではないはずです。
 “男女平等”ではなく、“男女は異種平行(交わらない)・平衡(釣り合う)・並行(並んで進む)”と私は考えるのです。男性と同じ事をして同じ高さに上って評価されることが、女性の地位向上では決してなく、女性は男性にできないことで能力を発揮して世の中に貢献すればいいではないか、男女は違いを尊重して補い合うことで評価し合うべきである、と。男性と比肩して働き同等に評価してもらいたいという有能な少数派女性の不満解消のために、元来多数派女性の適性適所の世界を剥奪してはならないと考えます。私がこのようなことを講演で話すと、決まって会場にいるフェミニストの女性達から「なぜ貴方のように女性として成功している人が、このように男女平等を否定し男女差別を推奨するのか!?」と言われることが多いのですが、私は今まで男性と張り合って仕事をしたことは全くありません。それでも分相応に評価されてか満足のいく扱いを受けてきました。小さい時からよく男子に「こいつを女だと思うなよ~!」と言われ、スポーツでも男性と一緒に練習することが多く、行動上及び性格的には男性的な少数派の女性なのでしょうが。前章でも書いたように、木村教授の指導のお陰かも知れませんが、常に男女には違いがあり補い合うものだ、と考えてやってきました。今後もそれは自然体で変わりありません。

 女性的な女性の人生で何が悪い!他者評価を高めたい上昇志向の強い女性はそうしていくがいい。自己評価で満足できる女性の人生を進めばそれでいいではないか!男女差をなくしてグラデーション化することが今後の人類に推奨される理想的な事だとは私には決して思えない。必ずその歪(ひずみ)が現れる日が来ることを懸念している。

2021.12.20

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